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瀬戸内の美しい自然と、温暖な気候風土に恵まれた松山は、道後温泉とともに古くから開け、多くの文人墨客が訪れています。万葉集をはじめ歌にも詠まれるなどその文化的土壌は厚く、近くは短詩型文学を革新した正岡子規を中心に、柳原極堂・高浜虚子・河東碧梧桐・中村草田男・石田波郷など、多くの俳人を輩出したことから「俳都」とも呼ばれ、市内には数多くの文学碑や文学遺跡が残されております。
これを広く紹介するため、案内コースを設定し、冊子として取りまとめたのが『俳句の里 松山』です。一九八一年の初版以降改訂を重ねておりますが、二〇一一年に松山市立子規記念博物館開館三十周年・子規没後一一〇年の節目の年を迎えたことを機に、二〇〇五年に松山市と合併した旧北条市、旧中島町の区域を含めた市内全域に点在する文学碑を一年かけて調査しました。この結果を踏まえ、これまで紹介した文学遺跡や原稿を見直し、今回、第三版として刊行する運びとなりました。
この新たに編集された冊子を片手に、四季折々に先人達が求め歩いた地を辿り、その時の情景を心に描きながら郷土の認識を新たにしていただき、県外から訪れる方々には、いつまでもその情景を心に留めていただければ幸いです。
なお、子規記念博物館は、これからも正岡子規の世界を通して、より多くの人々に松山の歴史や文学に親しんでいただくとともに、子規を育んだこの松山の地をより深く理解いただけるよう情報発信し、俳都の名に恥じぬよう俳句文化の伝承や振興に努めてまいります。
終りに、『俳句の里 松山』再刊に際し、ご協力いただきました諸先生方に厚くお礼申し上げます。
松山市立子規記念博物館 総館長 竹田 美喜