北条地区(9)

粟の井やそこ夏の海よりの風(村上)壺天子

 村上壺天子は、本名万寿男。大正10年、松根東洋城が創設した「渋柿」の同人となる。句碑は、粟乃井井戸の左側に建っている。昭和35年5月26日建立。
 句碑の近くには、難所といわれた「粟井坂」という山越えの道があったが、この「粟井」の地名は、つぶつぶと粟の実状に水が湧いていた井戸が海岸端にあり、その井戸を「粟之井」と呼んだことに由来しているという。
 北条側から急な坂を登っていくと、関所跡や「和気郡」「風早郡」との境を示す碑、また河野一族の河野通清の墓所を見ることができる。瀬戸内海に面し、海風の吹く坂の上は、ちょうど北条平野も松山平野を眺めることができ、郡境に立った旅人は、あと一息と思ったことであろう。

所在:松山市小川(粟乃井井戸前)

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