北条地区(10)

むささびの落とせし山毛欅ぶなの実なるらん(村上)杏史

 高縄寺の山門に向かって左側にあるこの碑は、986㍍の高さを持つ高縄山の霧のためか、すっかり苔むしている。
 むささびはリス科の小動物で、暗い針葉樹林に住み、夜行性。四肢を広げ、飛膜で滑空をする。山毛欅は、この山頂一帯にあり、三裂するイガの中に、三稜をもつ実が入っていて、動物のよい餌になる。根の方は、保水性に富んでいる。山毛欅のどんぐりを手に、夜滑空するむささびを思い浮かべたのだろう。
 なお、句碑は、昭和54年に北条木の芽会の手により建立された。

所在:松山市立岩米之野(高縄寺)

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