城南地区(2)
ていれぎの下葉浅黄に秋の風(正岡)子規
明治25年(一八九二)「寒山落木」の筆跡。「ていれぎ」は和名「オオバタネツケバナ」と言い、松山市指定文化財(天然記念物)。伊予節にも「高井の里のていれぎや」と歌われていて、虚子は、その「子規句解」(昭和54年市民双書21復刻)の中で、「―そこに湧く清冽の泉の流れに生えてゐるものである。刺身のツマなどに使ふ歯切れのいいものである。まっ青なくきぐきと力強い葉のものであるが其下葉は浅黄になってをる、と、秋風の吹く頃の様を言ったものである。」と書いている。
この句碑のある「杖ノ淵」は昔、弘法大師が、水に乏しい土地の様子を哀れんで、杖を地に突き立てられると水が湧きだしたという言い伝えに因んだ地名である。乱獲と水の汚れで絶滅しかけた「ていれぎ」は、この清らかな湧き水の中で今は保護育成されている。
所在:松山市南高井町(杖ノ淵公園)
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