城東地区(7)

火やかね遠里小野とおさとおのの虫送(正岡)子規

 子規句集「俳句稿」明治31年秋の部の句。
 「虫送」は、田の害虫を追い払う農村儀礼で、松明を焚き、鉦を鳴らし、虫を追い捨てる行事。「遠里小野」は『万葉集』に見える古い地名で大阪市住吉区住吉の南東の平地。当地の地名「小野」のゆかりで句碑としたものと思われる。子規自筆。
 碑の裏面には、子規の「養痾雑記」(明治28年)の中の「故郷」と題する一文より
    故郷
  「嬉しきも故郷なり 悲しきも故郷なり
  悲しきにつけても 嬉しさは故郷なり」  子規
という一節が、国立国会図書館の「日本」から採った明朝体の文字で刻まれている。平井町千福寺の本堂新築記念に、地元の檀家によって寄進されたもの。
 なお、万葉集中の「遠里小野」という地名の歌は次のとおりである。巻七1156
  住吉の遠里小野のま榛は りもち摺れる衣の盛り過ぎゆく
今、大阪市住吉区墨江町に遠里小野の地名が残っている。

所在:松山市平井町(千福寺)

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