忽那諸島(4)

渚行き松林ゆき島遍路(村上)杏史

この嶋へ起き来る潮や初日影(松永)鬼子坊

 この句碑は、かつてこの碑の建立者中村正童の住居のあった島の西側の吉木に建っていた。トライアスロンで有名になった中島の顔である大浦の方へ移したようだ。
 杏史には、遍路を詠んだ句が多い。四国には四国霊場は回れなくても、せめてと「山四国」や「島四国」が開発されている所もある。昔の瀬戸内海の美を表した「白砂青松」は、今は望むべくもないが、そうした中を巡る白衣が目に浮かぶ。
 教師であり、渋柿系の俳人であった鬼子坊は、この中島で新年を迎えた体験があったのだろうか。初日の光の中を、満ちてくる潮を詠んでいる。杏史、鬼子坊ともに正童の俳句の師であった。
 正童の句「入港の船春潮を昂らす」と共に四角柱の三面に句が刻まれている。

所在:松山市中島大浦(中島商工会横駐車場)

忽那諸島(4)番