忽那諸島(5)

一舟の渦よぎり来る月涼し(村上)杏史

 碑の裏面に「村上杏史先生喜寿記念 昭和六十年十一月四日 中島俳句協会建立」とある。
 杏史は、昭和24年、この碑を建立した「中島俳句協会」を設立。一方、昭和21年には俳誌「柿」の創刊に関わり、昭和36年からはその主宰を務めた。
 なお、彼の句集『木守』のあとがきで「然して今年の秋は私の喜寿句碑を郷里の菩提寺長善寺に建てて頂き、この喜寿記念句集を上梓する運びとなりました。」とお礼の言葉を残している。
 句碑のある長善寺は、中島の大浦集落から大里山へ上る眺望の良い高台にある。寺の縁起では、平安時代、坂東の郷士・藤原親賢が遠流の途中、大里山の峰に光を見つけ、郭公の鳴き声に導かれ、ここに永住を決めたとも言われる。

所在:松山市中島大浦(長善寺参道)

忽那諸島(5)番