城下コース(17)

夕桜城の石崖裾濃いしがけすそご なる(中村)草田男

 第一句集『長子』(昭和11年・一九三六)の中の一句。昭和9年帰郷時の作。
 「裾濃」とは衣服や鎧の縅の色合いで、上が淡く、下方になるほど濃いもののこと。この自筆句碑は、草田男主宰の俳誌「萬緑」の会員らが力を合わせ、このすばらしい環境に建立し、昭和58年8月6日除幕予定のところ、前日の8月5日急逝のためとりやめとなり、改めて、翌59年8月25日、家族・「萬緑」会員らが出席して、お孫さんの手で除幕した。草田男は、自分の句碑建立にはなかなか消極的であったが、県内には、この句碑の外に、温泉郡中島町の松山北高等学校中島分校の正面入口の右に
  一度訪ひ二度訪ふ波やきりぎりす  (中村)草田男
という自筆の句碑がある。

所在:松山市東雲町(東雲公園)

城下コース(17)番