北条地区(8)

しほひがた隣の国へつゞきけり(正岡)子規

釣鐘のうなる許に野分かな(夏目)漱石

 子規の句は「寒山落木」に所収のもの。この地の対岸である広島で詠まれたものであるが、松山と風早の郡境に相応しい句として選ばれたのであろう。
 漱石の句は、明治39年(一九〇六)10月、松根東洋城宛ての手紙に書いた作品として『漱石全集第二十三巻』(岩波書店版)に所収されている。
 いずれの句も自筆で、昭和51年春、子規・漱石生誕百十年を記念して、北条ユネスコ協会が建立した。
 ちなみに、JR予讃線の粟井坂トンネルに続く山の一郭の私有地を、地元の篤志家林関四郎が「閑林園」と名付け、句碑を整備している。
  こし折といふ名もをかし春の山  花叟
  鶯の聲々心ほとけゝり  霽月
  秋いくとせ石鎚を見ず母を見ず  波郷
  春風やふね伊豫に寄りて道後の湯  極堂
の4句を1基に刻んだ句碑をはじめとして、村上霽月や富田狸通、越智水草(二良)など10基の句碑等が建てられ、公開されている。

所在:松山市小川(粟井坂大師堂)

北条地区(8)番