道後コース(27)

伊佐爾波いさにはの丘めぐる水にこだまして
   あかつきいで湯の太鼓鳴りいづ(弘田)義定

 伊佐爾波(いさにわ)というのは万葉ゆかりの当地の歌枕で、今日の道後温泉のうしろの丘一帯と考えてよい。「丘めぐる水」は道後公園のまわりのお堀と考えられる。道後温泉三層の本館屋上に「振鷺閣」があり、そこで毎朝六時に開場の知らせの太鼓が鳴り響く。そこに伊予の松山らしさを感じてこの歌となった。この歌は、弘田義定の第三歌集『遠雲集』中の一首で文字は自筆。彼が興した「愛媛アララギ会」会長に選ばれて、没年まで36年間も務め、その基盤を固めた功績を讃えて、同会一同が平成4年5月に建立した。
 昭和59年、文化庁地域文化功労賞、松山市民表彰受賞。愛媛歌人クラブ会長、松山歌人会長。愛媛新聞社営業局長・常務取締役。

所在:松山市御幸一丁目(千秋寺)

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