道後コース(3)

寝ころんで蝶泊らせる外湯そとゆ(小林)一茶

 寛政7年(一七九五)、俳人小林一茶(当時三三歳)は、その師二六庵竹阿(一七九〇没)の旅の跡を慕い、松山の俳人栗田樗堂(当時四七歳)らを訪ねて、松山に来た。その旅日記(寛政紀行)によれば、同年2月1日のところに、「道後温泉の辺りにて」と前書きしてこの句がある。これを発句として魚文ら3人で歌仙を巻いている。
 現在の道後温泉には、外湯というものはないが、天明(一七八一~一七八八)時代の古図によれば、本館の西に、本湯の流れ出るのを使って、野天の「馬の湯」というものがある。また、十返舎一九の「金草鞋」文化10年(一八一三)の中の道後温泉の絵図を見ると、本館の西の外れに柵で囲った長円形の池があって、牛馬などの湯であったようだ。この年の旧の2月1日は今の3月21日に当たるから、蝶も舞う麗らかな陽気であったろう。松山が気に入ったのか、一茶は翌年にもまた来遊した。昭和25年(一九五〇)建立。酒井黙禅筆。

所在:松山市道後公園(公園北入口)

道後コース(3)番