道後コース(15)

身の上や御鬮みくじを引けば秋の風(正岡)子規

 この句は、この前の「南無大師」の句と同じく、明治28年(一八九五)9月20日散策(吟行)の折の作。柳原極堂の筆。
 石手寺に着いた子規は、「大師堂の縁端に腰うちかけて息をつけば其側に落ち散りし白紙何ぞと聞くに当寺の御鬮二四番凶とあり中に『病気は長引(く)也命にはさはりなし』など書きたる自ら我身にひしひしとあたりたるも不思議なり」と「散策集」にあり、その次にこの句がある。同道した極堂は、はたからそれを見て暗然とした、と、後年述懐している。事実、彼は、この秋帰京してより、病床七年の闘病生活がはじまるのである。
 大師堂は昔にかわらぬが、その日、子規が腰かけた縁端の西北の所は、その辺りが一部とり除かれて、今はない。

所在:松山市石手二丁目(石手寺境内右)

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