道後コース(17)

葉桜の中の無数の空さわぐ(篠原)梵

 この句は篠原梵の句集「皿」にあり、昭和12年の作。篠原梵は、鋭い感覚や抒情を抑え、独自のデフォルメで迫力ある斬新なリズムを編み出した。この句がその好例。さわやかな初夏の風で揺れさわいでいる葉桜ごしに見えるこま切れの「無数の空がさわぐ」といった、その表現の確かさ。
 昭和51年10月17日、篠原梵一周忌に建立。
 なお、境内には次の句碑もある。
◎いしぶみの石に降込(む)時雨かな (宇都宮)丹騎鶴
 宇都宮丹騎鶴が、明治15年(一八八二)、芭蕉二百回忌に「花入塚」を整備したことを記念して、自ら建てた句碑である。
◎石手寺の松を拝みて年迎ふ  (宇田)零雨
 昭和39年1月 「草茎」三〇周年記念
◎花はいさ鐘つかれけり石手寺  (閑谷)噺風
 昭和50年4月13日 噺風先生古稀記念
◎一山の堂塔高き大夕焼  (富田)狸通
 昭和48年10月 石手俳句会

所在:松山市石手二丁目(石手寺境内左)

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