道後コース(21)

色鳥のいろこぼれけりむら紅葉(黒田)青菱

 「色鳥」は「いろどり」と訓み、秋渡って来る、美しい羽色の鳥のこと。秋の季語。紅葉の美しさに、折りからの羽色の美しい渡り鳥の美しさをことよせた句。
 この句を作った黒田青菱は、松山市札の辻の西の方に住んだ古い薬種商で本名・弥七郎、屋号は亀屋。別号・函翠居と称して俳諧に心をそそぎ、青菱の祖父白年より其東(養嗣子)・青菱・青江と、黒田家四代約130年に亘る旧派俳諧の名家。青菱は明治39年(一九〇六)4月17日五七歳で没。大正14年(一九三九)3月、位牌を常信寺へ納めるにあたって、弟子の小倉青藍が、自ら石に書いて彫らせたという。
 青菱は、宇都宮丹靖と俳諧結社「睡辟社」を興すなど、地元俳壇の中心となり活躍し、やがて、子規らの新しい俳句の流れに引き継がれた。
 なお、常信寺は、松山藩久松家初代藩主松平定行が、松山城の艮(うしとら・東北)に、江戸の東叡山を模して、鬼門鎮護のために建てた天台宗の寺で、松平定行と、松平定勝の六男定政の霊廟がある。

所在:松山市祝谷東町(常信寺)

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